「アルカリ洗濯」はアルカリ性の物質を使った洗濯方法です。
今回はアルカリ洗濯の方法、汚れが落ちるしくみなどをお話します。
アルカリ洗濯に必要なもの
アルカリ洗濯には当然アルカリ剤が必要です。
よくナチュラル素材として名前があがるのが重曹ですが、重曹はphが低い極めて弱いアルカリ剤です。重曹は安全ですが洗濯物の汚れ落としには力不足です。
上のph表の、ph10~11前後が比較的扱いやすくて汚れも落ちる範囲です。13,14あたりになると強アルカリで危険性があります。
酸性でもアルカリ性でも極端に強いものだと、肌や触れたものに刺激になって悪影響が出てしまうんですよね。
というわけで、アルカリ洗濯にはおもに「セスキ炭酸ソーダ」「炭酸塩」「過炭酸ナトリウム」が使われます。
セスキ炭酸ソーダ
Ph9.5前後。セスキ炭酸ソーダ。アルカリウォッシュという商品が有名です。重曹よりもアルカリが高く扱いやすい粉末。
水に溶けやすいので洗濯、つけ置きに便利。価格も安く手に入れやすい。
炭酸塩(炭酸ナトリウム)
Ph11前後。高アルカリで汚れ落ちがよい粉末。炭酸塩として粉石鹸の洗浄力を高めるために配合されている成分です。
直接触ると手荒れする可能性があるので、気をつけるかゴム手袋をして扱いましょう。
過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)
Ph10.5前後。セスキと炭酸塩の中間のアルカリ度ですが、40℃ほどのお湯に溶かすと発泡します。
漂白効果もあるので酸素系漂白剤として販売されています。
最初はセスキ炭酸ソーダと過炭酸ナトリウムの2つがあれば十分でしょう。
過炭酸ナトリウムは漂白の目的があるので持っておきたいですが、セスキと炭酸塩はどちらか一つから始めるのがよいかと。
炭酸塩はアルカリが強いので汚れ落ちはいいです。ただセスキで十分と感じるかもしれないですし、初心者の方はセスキをおすすめします。
管理人もセスキ、炭酸塩、過炭酸ナトリウム3つ持っていますが、よく使うのはセスキですね。もちろん色々試したいなら揃えるのも良しです!
番外:水酸化カルシウム(貝殻焼成パウダー)
ちょっとマイナー?なほたての貝殻が原料のアルカリ剤をご紹介します。
ほたての貝殻はアルカリ度が高く清潔なので、壁の塗料などにも使われているそうですよ。
Ph13前後と強アルカリながら、製造過程で焼成しているため、Ph14の苛性ソーダほどの危険性はないようです。(苛性ソーダは劇物指定されていますが、貝殻焼成パウダーは「炭酸カルシウム」として食品添加物にも使われます。こんにゃくを固める成分です)
少量で十分なアルカリ分が得られるため経済的。とはいえやはり強アルカリなので、手袋などの防護をして取扱いに気をつけたいところです。
アルカリ洗濯の実践方法
必要なものを確認したところで、実際にアルカリ洗濯の方法を解説します。
- 洗濯機に洗濯物を入れる
- 洗濯物が浸るくらいに水またはお湯を入れる
- アルカリ剤を入れる
※30Lに対してセスキ炭酸ソーダなら大さじ1、炭酸塩なら大さじ1/2ほど - 通常通り洗濯し、すすぎは1,2回
※すすぎの際にクエン酸小さじ1ほどを入れても可
おわかりいただけるように、いつもの洗濯方法でOKなのです!
セスキ炭酸ソーダも炭酸塩も水に溶けやすいのでガシガシ撹拌する必要はありません。
洗剤なし、柔軟剤なし、少しのアルカリ剤さえあれば洗えてしまうという…お手軽で経済的な洗濯方法です。
より洗浄力を引き出すには、お湯を使ったり、洗濯機や大きめの容器にアルカリ剤を溶かした状態でつけ置きしておくとよいでしょう。
アルカリで汚れが落ちる理由
アルカリにはたんぱく質や皮脂汚れを溶かす性質があります。
この性質を利用して汚れを落とすのがアルカリ洗濯です。
洗濯物の汚れは、おもに皮脂、汗、血液など。
子育て中なら母乳やおしっこ、うんちなども。
これらの汚れのほとんどはアルカリで落とすことができます。
ただし大量に汗をかいた服やひどい泥汚れなどは力不足。排泄物も体調によって性質が変わるので、絶対に落ちるとは言い切れません。
アルカリで落ちない汚れは、その後ふつうに洗濯すると綺麗になることが多いですよ。
アルカリだけで洗濯することにこだわらず、「予洗い」「つけ置き」としてアルカリ剤を使い、つけ置き後にいつもの洗濯をするのも大いにアリです。
ちなみに、「酸性を中和する」というのはちょっと違います。アルカリ性の「脂肪酸(脂質)を乳化させて落ちやすくする」「たんぱく質を溶かす」性質を利用するのです。酸性かどうかに関わらず、皮脂や血液に効果的なのです。なお、アルカリが強いと抗菌効果も期待できます。
シンプルながらもきちんと汚れを落とすメカニズムだというわけですね!
アルカリ洗濯のメリットとデメリット
メリット
アルカリ洗濯のメリットは、なにより「手軽」で「コストパフォーマンスがよい」ところです!
洗濯機や容器につけ置きするだけで予洗いに。軽い汚れなら単品で汚れが落ちる。洗剤や柔軟剤が不要で、アルカリ剤自体も手頃な値段。
時間とお金を上手に使える、主婦には嬉しい洗濯方法なのです。
もちろん合成界面活性剤や香料などは一切ないので、肌にも安心して使えます。
デメリット
手軽でコスパよし、とメリットの多いアルカリ洗濯ではありますが、条件によっては不向き・面倒になってしまうことも。
- ドラム式洗濯機ではつけ置きできない
- 強めの汚れ(泥、シミなど)は落ちない場合がある
デメリットは上の2つが考えられます。
アルカリ洗濯の力を最大限に引き出すのはつけ置きです。汚れの落ちやすさは一瞬だけアルカリ水に浸っているよりある程度時間をおいたほうが上ですから。
ドラム式洗濯機では洗濯機内でつけ置きできないので、別の容器で置いておく必要が出てきてしまいます。面倒です。
実際、管理人宅でも洗濯機を縦型からドラム式に変えた際に、メインの洗濯ほとんど石鹸に切り替えてアルカリは予洗い目的になりました。
アルカリ洗濯は普段使いやベビー用品におすすめ!
アルカリ洗濯は「低コスト・簡単に汚れが落ちる」のがいいところ。
縦型洗濯機を使っていたり、節約指向のかたはもちろん、赤ちゃんがいるご家庭には特におすすめです!
赤ちゃんは汗っかきで、着替えもたくさん。よだれやミルクで汚れたり、布おむつを使っていればあっという間に洗濯物の山…あとで洗濯しようと思って置いておくと、汚れが染みついてなかなか落ちなくなったりします。
汗をかいた程度であればアルカリ洗濯だけで十分ですし、汚れ物だってバケツにアルカリ剤を入れてつけ置きしておくだけで汚れが浮きやすくなり、その後の洗濯がとても楽なんですよ。
日々のお洗濯をちょっと楽にする、アルカリ洗濯をぜひ活かしてみてください!
参考までに、管理人おすすめのアルカリ剤をご紹介しますね。
- 地の塩社 アルカリウォッシュ
:お安く使いやすい定番のセスキ炭酸ソーダ。
- ねば塾 炭酸ナトリウム
:溶けやすく手頃、単品で洗濯したり助剤として合わせて入れたり。
- オカモト やさしい 洗濯用 酸素系漂白剤
:衣類や布巾の漂白や洗濯槽の掃除・汚れ防止に。
成分としてはどのメーカーにも違いはないので、価格や容量、溶けやすさなどの自分に合った使い勝手の商品を選ぶとよいですよ。